2009年 01月 01日
「波止場」 |
1954年/アメリカ
監督/エリア・カザン
出演/マーロン・ブランド
エヴァ・マリー・セイント
カール・マルデン
2009年の1本目はこの作品にしようと決めてました。第27回アカデミー賞で8部門受賞し、マーロン・ブランドが初めてオスカーに輝いた作品でもあります。監督はエリア・カザン。
元プロボクサーのテリー(マーロン・ブランド)は今はニューヨークの波止場で働いている。波止場を牛耳るボスのジョニー(リー・J・コッブ)の差し金により、殺人事件に加担させられてしまった彼は、殺された男の妹イディ(エヴァ・マリー・セイント)と親しくなる。彼は良心の呵責とジョニーへの恐怖の間で悩み苦しむが、兄のチャーリー(ロッド・スタイガー)が殺されたことがきっかけとなり、すべてを洗いざらいぶちまける・・・というストーリー。
この作品ではマーロン・ブランドはもちろんのこと、リー・J・コッブも、ロッド・スタイガーも、神父役のカール・マルデンも大変な好演を見せています。やはり、エリア・カザン監督ってスゴイ人だったんだと再認識。さすがアクターズ・スタジオの創設者です。後に赤狩りの裏切者として、彼の名声が地に堕ちてしまうのは、大変残念なこと。たとえ彼が仲間を売った裏切者であっても、彼が名作を次々に撮った名匠であり、役者を育て、名優にしたことは間違いないのです。それに、当時の赤狩りが映画関係者達にどれだけ恐怖を与えたか・・・それを知らない現代の私には、彼を責めようがないからです。カザンは被害者でもあると思うから。私は作品を観て評価する、ただそれのみです。
さて、この「波止場」。観ていて胃が痛くなるような閉塞感と重さ。特にマーロン・ブランドとロッド・スタイガーがタクシーの中で話すシーンは息を詰めて見入ってしまいました。映画史上、最大の名シーンと言われている4分間。公聴会で証言するなと迫る兄に弟は「わからない」と答える。すると、兄は弟に銃を向ける。弟は突きつけられた銃をそっと下ろしながら、あきらめにも似た表情で「チャーリー」と兄の名を呼ぶ。誰よりも尊敬する兄に対する失望。そして弟から兄へ初めて告げられる八百長をさせられたことについての責めの言葉。兄弟の絆が失われた瞬間。しかし、兄は自分が犠牲になることで、弟を守ろうとする。自分の死を悟りながら、弟をタクシーから降ろす。この場面、ブランドも素晴らしいけれど、スタイガーの表情が絶品。2回、3回と続けて観ると、その表情に胸が締め付けられます。
ちなみに撮影時、ブランドは母親を亡くしたばかりで精神的に不安定になっていて、毎日分析医の元に通っていたそう。そんなこと、微塵も感じさせない名演。この人は天才だ、と改めて思います。彼はところどころアドリブを入れてるんだけれど、カザンは極力カットをしなかったとか。俳優マーロン・ブランドを信じているが故だと思うのです。
なお、助演女優賞に輝いたエヴァ・マリー・セイントは、なんとこの作品がデビュー作。彼女はこれから52年後に「スーパーマン リターンズ」でブランドと再共演しています。・・・ブランドは既に亡くなっていて、CGなんですけどね。ちょっと感慨深いですよね。
俳優達の名演を堪能するならこの作品。素晴らしい場面の数々でした。
(DVD)
監督/エリア・カザン
出演/マーロン・ブランド
エヴァ・マリー・セイント
カール・マルデン
2009年の1本目はこの作品にしようと決めてました。第27回アカデミー賞で8部門受賞し、マーロン・ブランドが初めてオスカーに輝いた作品でもあります。監督はエリア・カザン。
元プロボクサーのテリー(マーロン・ブランド)は今はニューヨークの波止場で働いている。波止場を牛耳るボスのジョニー(リー・J・コッブ)の差し金により、殺人事件に加担させられてしまった彼は、殺された男の妹イディ(エヴァ・マリー・セイント)と親しくなる。彼は良心の呵責とジョニーへの恐怖の間で悩み苦しむが、兄のチャーリー(ロッド・スタイガー)が殺されたことがきっかけとなり、すべてを洗いざらいぶちまける・・・というストーリー。
この作品ではマーロン・ブランドはもちろんのこと、リー・J・コッブも、ロッド・スタイガーも、神父役のカール・マルデンも大変な好演を見せています。やはり、エリア・カザン監督ってスゴイ人だったんだと再認識。さすがアクターズ・スタジオの創設者です。後に赤狩りの裏切者として、彼の名声が地に堕ちてしまうのは、大変残念なこと。たとえ彼が仲間を売った裏切者であっても、彼が名作を次々に撮った名匠であり、役者を育て、名優にしたことは間違いないのです。それに、当時の赤狩りが映画関係者達にどれだけ恐怖を与えたか・・・それを知らない現代の私には、彼を責めようがないからです。カザンは被害者でもあると思うから。私は作品を観て評価する、ただそれのみです。
さて、この「波止場」。観ていて胃が痛くなるような閉塞感と重さ。特にマーロン・ブランドとロッド・スタイガーがタクシーの中で話すシーンは息を詰めて見入ってしまいました。映画史上、最大の名シーンと言われている4分間。公聴会で証言するなと迫る兄に弟は「わからない」と答える。すると、兄は弟に銃を向ける。弟は突きつけられた銃をそっと下ろしながら、あきらめにも似た表情で「チャーリー」と兄の名を呼ぶ。誰よりも尊敬する兄に対する失望。そして弟から兄へ初めて告げられる八百長をさせられたことについての責めの言葉。兄弟の絆が失われた瞬間。しかし、兄は自分が犠牲になることで、弟を守ろうとする。自分の死を悟りながら、弟をタクシーから降ろす。この場面、ブランドも素晴らしいけれど、スタイガーの表情が絶品。2回、3回と続けて観ると、その表情に胸が締め付けられます。
ちなみに撮影時、ブランドは母親を亡くしたばかりで精神的に不安定になっていて、毎日分析医の元に通っていたそう。そんなこと、微塵も感じさせない名演。この人は天才だ、と改めて思います。彼はところどころアドリブを入れてるんだけれど、カザンは極力カットをしなかったとか。俳優マーロン・ブランドを信じているが故だと思うのです。
なお、助演女優賞に輝いたエヴァ・マリー・セイントは、なんとこの作品がデビュー作。彼女はこれから52年後に「スーパーマン リターンズ」でブランドと再共演しています。・・・ブランドは既に亡くなっていて、CGなんですけどね。ちょっと感慨深いですよね。
俳優達の名演を堪能するならこの作品。素晴らしい場面の数々でした。
(DVD)
by mayumi-68
| 2009-01-01 13:30
| ハ行