2009年 05月 08日
「グラン・トリノ」 |
2008年/アメリカ
監督/クリント・イーストウッド
出演/クリント・イーストウッド
ビー・ヴァン
アーニー・ハー
クリント・イーストウッド監督・主演作品。・・・素晴らしい。彼は偉大なる映画人であり、人間の生き様に真摯に向き合っている人物だと深く感じ入りました。
妻に先立たれ、一人暮らしの頑固な老人ウォルト。息子達はそんな父親に近づこうとしない。そんな時、林家の移民の少年タオがウォルトのヴィンテージカー「グラン・トリノ」を盗もうとしてウォルトに見つかってしまう。タオは同じ民族のチンピラから強制されてやったのだ。ウォルトはタオの家族と交流しながら、タオが一人前になるように手を貸すようになるが・・・というストーリー。
(以下ネタバレあり)
なんといってもラスト。驚きました。そうきたか!と。そして気付きました。そうだ、ハリー・キャラハンではないのだと。ウォルトは戦争で人を殺したという傷を抱えており、そんな彼がたとえ卑怯な奴らが相手でも、人を殺すはずがないということを。その代わり、彼は奴らがタオに手を出せない最良の方法を思いつく。多くの人が観ている中、「ライターを取り出すぞ」と宣言して懐に手を入れる。銃かと思ったチンピラは当然撃つ。しかし、彼が手にしていたものは本当にライターで、その上丸腰だった。丸腰の者を撃てば「正当防衛」なんて言い訳は通用しない。相当な年数の懲役をくらう。それこそ、タオの人生を邪魔しないだけの年数を。ウォルトの完璧なシナリオだ。ただし、自分の死と引き換えだが。ウォルトはタオを救って自らの人生を締めくくろうと考えたのだ。なんという人生の幕の引き方。あまりのことに私は呆然とスクリーンを観ていた。
でも、エンドロールが始まった時、じわじわと感動の波が襲ってきた。サァッと鳥肌が立った。78歳のイーストウッドが導き出した答えは衝撃的であり、そこに人生の深みを見た思いだった。ダーティーハリーとは違う。少年タオの未来を守るために老人ウォルトが選んだ結末。老人から少年へのバトンタッチ。そしてグラン・トリノは走り続ける。ウォルトからタオへと引き継がれて。ウォルトの魂と共に。
様々なことを考えさせられ、映画の素晴らしさを再認識させてくれる作品でした。紛れもない傑作ですね。
(渋谷東急)
監督/クリント・イーストウッド
出演/クリント・イーストウッド
ビー・ヴァン
アーニー・ハー
クリント・イーストウッド監督・主演作品。・・・素晴らしい。彼は偉大なる映画人であり、人間の生き様に真摯に向き合っている人物だと深く感じ入りました。
妻に先立たれ、一人暮らしの頑固な老人ウォルト。息子達はそんな父親に近づこうとしない。そんな時、林家の移民の少年タオがウォルトのヴィンテージカー「グラン・トリノ」を盗もうとしてウォルトに見つかってしまう。タオは同じ民族のチンピラから強制されてやったのだ。ウォルトはタオの家族と交流しながら、タオが一人前になるように手を貸すようになるが・・・というストーリー。
(以下ネタバレあり)
なんといってもラスト。驚きました。そうきたか!と。そして気付きました。そうだ、ハリー・キャラハンではないのだと。ウォルトは戦争で人を殺したという傷を抱えており、そんな彼がたとえ卑怯な奴らが相手でも、人を殺すはずがないということを。その代わり、彼は奴らがタオに手を出せない最良の方法を思いつく。多くの人が観ている中、「ライターを取り出すぞ」と宣言して懐に手を入れる。銃かと思ったチンピラは当然撃つ。しかし、彼が手にしていたものは本当にライターで、その上丸腰だった。丸腰の者を撃てば「正当防衛」なんて言い訳は通用しない。相当な年数の懲役をくらう。それこそ、タオの人生を邪魔しないだけの年数を。ウォルトの完璧なシナリオだ。ただし、自分の死と引き換えだが。ウォルトはタオを救って自らの人生を締めくくろうと考えたのだ。なんという人生の幕の引き方。あまりのことに私は呆然とスクリーンを観ていた。
でも、エンドロールが始まった時、じわじわと感動の波が襲ってきた。サァッと鳥肌が立った。78歳のイーストウッドが導き出した答えは衝撃的であり、そこに人生の深みを見た思いだった。ダーティーハリーとは違う。少年タオの未来を守るために老人ウォルトが選んだ結末。老人から少年へのバトンタッチ。そしてグラン・トリノは走り続ける。ウォルトからタオへと引き継がれて。ウォルトの魂と共に。
様々なことを考えさせられ、映画の素晴らしさを再認識させてくれる作品でした。紛れもない傑作ですね。
(渋谷東急)
by mayumi-68
| 2009-05-08 18:50
| カ行