2011年 03月 08日
「サラエボ、希望の街角」 |
2010年/ボスニア・ヘルツェゴビナ、オーストリア、ドイツ、クロアチア
監督/ヤスミラ・ジュバニッチ
出演/ズリンカ・ツヴィテシッチ
レオン・ルチェフ
サラエボに住むルナとアマルは夫婦。ルナはボスニア紛争で両親を殺されていた。アマルは仕事中に酒を飲み、停職処分を受けてしまう。そんな時、アマルは戦友と再会。彼の紹介で仕事を得るが、行く先はイスラム原理主義者達のキャンプだった。アマルはすっかり洗脳されてしまい、ルナは変わってしまった夫に戸惑う・・・というストーリー。
サラエボが舞台であり、やはりボスニア紛争は外せないテーマ。でもこの作品は”宗教”という、もう一つの難しいテーマも取り入れている。元々、ルナとアマルはイスラム教徒。でも、酒も飲むし、服装だって今時風。厳格ではなかった。けれども、洗脳されたアマルは酒を断ち、ルナの服装にイチャモンをつけ、挙句の果てには「婚前交渉は罪だ」なんて言い出す。ルナじゃなくたって「はぁ?」と言いたくなる。「私に処女に戻れっていうの!?」というルナの言葉、ごもっともである。
イスラム原理主義=テロリストとは思わないけれど、少々それを匂わすシーンもある。アマルは奪われた土地を取り戻すためにもう一度戦うべきだと発言し、ルナの祖母にぴしゃりと戒められる。重婚さえも認められるイスラムの法に対し、監督のヤスミラ・ジュバニッチは冷ややかな視線を送る。ルナの怒りは監督の怒りであり、女性の権利をあまりにも軽んじているイスラム原理主義への抗議にも思える。
そして思ったことは、イスラム原理主義に限らず、人間の弱った心に宗教はいともたやすく浸透するのだな、ということ。もちろん、宗教が悪いとは思わない。ただ、この作品ではアマルの心に付け込んだように感じるんだよね。
ラスト、妊娠したルナの元へアマルは戻ってくるのか?というのが焦点となる。また微妙なところで終わるだけどね(←ヨーロッパの映画でありがちな手法)。でもあのルナの笑顔はきっと・・・と思うんだけどね。どうでしょう。
(岩波ホール)
監督/ヤスミラ・ジュバニッチ
出演/ズリンカ・ツヴィテシッチ
レオン・ルチェフ
サラエボに住むルナとアマルは夫婦。ルナはボスニア紛争で両親を殺されていた。アマルは仕事中に酒を飲み、停職処分を受けてしまう。そんな時、アマルは戦友と再会。彼の紹介で仕事を得るが、行く先はイスラム原理主義者達のキャンプだった。アマルはすっかり洗脳されてしまい、ルナは変わってしまった夫に戸惑う・・・というストーリー。
サラエボが舞台であり、やはりボスニア紛争は外せないテーマ。でもこの作品は”宗教”という、もう一つの難しいテーマも取り入れている。元々、ルナとアマルはイスラム教徒。でも、酒も飲むし、服装だって今時風。厳格ではなかった。けれども、洗脳されたアマルは酒を断ち、ルナの服装にイチャモンをつけ、挙句の果てには「婚前交渉は罪だ」なんて言い出す。ルナじゃなくたって「はぁ?」と言いたくなる。「私に処女に戻れっていうの!?」というルナの言葉、ごもっともである。
イスラム原理主義=テロリストとは思わないけれど、少々それを匂わすシーンもある。アマルは奪われた土地を取り戻すためにもう一度戦うべきだと発言し、ルナの祖母にぴしゃりと戒められる。重婚さえも認められるイスラムの法に対し、監督のヤスミラ・ジュバニッチは冷ややかな視線を送る。ルナの怒りは監督の怒りであり、女性の権利をあまりにも軽んじているイスラム原理主義への抗議にも思える。
そして思ったことは、イスラム原理主義に限らず、人間の弱った心に宗教はいともたやすく浸透するのだな、ということ。もちろん、宗教が悪いとは思わない。ただ、この作品ではアマルの心に付け込んだように感じるんだよね。
ラスト、妊娠したルナの元へアマルは戻ってくるのか?というのが焦点となる。また微妙なところで終わるだけどね(←ヨーロッパの映画でありがちな手法)。でもあのルナの笑顔はきっと・・・と思うんだけどね。どうでしょう。
(岩波ホール)
by mayumi-68
| 2011-03-08 18:30
| サ行