2002年 03月 07日
「カンダハール」 |
2001年/イラン
監督/モフセン・マフマルバフ
出演/ニルファー・パズィラ
アメリカ同時多発テロが起きなければ、アフガニスタンが注目を浴びることはなかったろうし、この作品がヒットすることもなく、この作品に描かれているアフガニスタンの悲惨な状況に世界が気づくことはなかっただろう。それを思うと皮肉なことである。
私がアフガニスタンに注目したのは、アメリカ同時多発テロが起きる半年ほど前だったろうか。バーミヤン遺跡がタリバンによって破壊された時。そしてほぼ同時期にテレビの深夜番組で観た今は亡き北部同盟のカリスマ・マスード司令官の特集だった。当時、北部同盟はタリバンに押されっぱなしで撤退を余儀なくされていた。建物も何もない砂漠のような場所でロケット砲を撃ち合っている画面に、平和ボケしていた私は言葉を失った。そして「アフガニスタンの未来のために」と語っていたマスード司令官にカリスマ性を感じていた。そのマスード司令官がマスコミを装った者に暗殺され、その驚きもさめやらぬうちにあの悲惨なアメリカ同時多発テロが起こった。その後はアメリカの軍事行動によりタリバンは崩壊し、暫定自治政府が誕生し、少しずつ復興への道をたどっている。平和が訪れるのはまだまだ先だが、人々に笑顔が戻りつつあるのが嬉しい。
この「カンダハール」は、タリバン政権下の厳しい状況が描かれている。自殺する妹を止めるためカンダハールに向かう女性ジャーナリストが目の当たりにするカンダハールの実状。空から落ちてくる義足を我先にと取りに向かう松葉杖の人々、白骨化した死体から指輪を取り、売ろうとする少年、ブルカで全身を覆った女性達・・・。彼らの状態は、タリバンが崩壊した今現在、どうなっているのだろうか。
この映画についてインタビューを受けていたマフマルバフ監督がアフガニスタンのことを語りながら涙をこぼしていた姿が忘れられない。これからのアフガニスタンに、私たちができることはなんだろうか。深く考えさせられた。
そして、もしマスード司令官が生きていたら、今のアフガニスタンをどのように感じるんだろうか、と思った。彼が生きていたら、きっと暫定自治政府の議長になっていたと思うから。
(新宿武蔵野館)
監督/モフセン・マフマルバフ
出演/ニルファー・パズィラ
アメリカ同時多発テロが起きなければ、アフガニスタンが注目を浴びることはなかったろうし、この作品がヒットすることもなく、この作品に描かれているアフガニスタンの悲惨な状況に世界が気づくことはなかっただろう。それを思うと皮肉なことである。
私がアフガニスタンに注目したのは、アメリカ同時多発テロが起きる半年ほど前だったろうか。バーミヤン遺跡がタリバンによって破壊された時。そしてほぼ同時期にテレビの深夜番組で観た今は亡き北部同盟のカリスマ・マスード司令官の特集だった。当時、北部同盟はタリバンに押されっぱなしで撤退を余儀なくされていた。建物も何もない砂漠のような場所でロケット砲を撃ち合っている画面に、平和ボケしていた私は言葉を失った。そして「アフガニスタンの未来のために」と語っていたマスード司令官にカリスマ性を感じていた。そのマスード司令官がマスコミを装った者に暗殺され、その驚きもさめやらぬうちにあの悲惨なアメリカ同時多発テロが起こった。その後はアメリカの軍事行動によりタリバンは崩壊し、暫定自治政府が誕生し、少しずつ復興への道をたどっている。平和が訪れるのはまだまだ先だが、人々に笑顔が戻りつつあるのが嬉しい。
この「カンダハール」は、タリバン政権下の厳しい状況が描かれている。自殺する妹を止めるためカンダハールに向かう女性ジャーナリストが目の当たりにするカンダハールの実状。空から落ちてくる義足を我先にと取りに向かう松葉杖の人々、白骨化した死体から指輪を取り、売ろうとする少年、ブルカで全身を覆った女性達・・・。彼らの状態は、タリバンが崩壊した今現在、どうなっているのだろうか。
この映画についてインタビューを受けていたマフマルバフ監督がアフガニスタンのことを語りながら涙をこぼしていた姿が忘れられない。これからのアフガニスタンに、私たちができることはなんだろうか。深く考えさせられた。
そして、もしマスード司令官が生きていたら、今のアフガニスタンをどのように感じるんだろうか、と思った。彼が生きていたら、きっと暫定自治政府の議長になっていたと思うから。
(新宿武蔵野館)
by mayumi-68
| 2002-03-07 00:55
| カ行