2007年 10月 25日
「迷子の警察音楽隊」 |
2007年/イスラエル、フランス
監督/エラン・コリリン
出演/サッソン・ガーベイ
ロニ・エルカベッツ
第20回東京国際映画祭グランプリ作品。
各国の映画祭でも各賞を受賞しているが、特にカンヌ国際映画祭のある視点部門の”一目惚れ”賞ってこの作品のために作られたらしい。
エジプトのアレキサンドリア警察音楽隊は、文化交流のためにイスラエルに招かれてやってきた。何故か空港に出迎えはなく、自力で目的地に行こうとしたところ、一文字違いの辺鄙な町にやってきてしまう。そこで食堂の女主人の計らいで地元民の家に泊めてもらうことになる・・・というストーリー。
大きな出来事があるわけでもなく、物語はどこかおかしみを持たせながら淡々と進む。静かな映像はアキ・カウリスマキ監督を彷彿とさせる。
イケメン音楽隊員が、地元の奥手な少年に恋愛の手ほどきをしてやるシーンには爆笑。あのなんともいえない独特のユーモアは好き。
でも何より、この映画のポイントは、ユダヤとアラブという民族の対話だと思う。映画の中で、誰も政治的なことは口にしない。でも、観る側はそれを知っている。そして、映画の中の優しい時間が、現実になることを願ってやまないのだ。
印象的なことがあった。それは、この映画を観終わってからのティーチ・インの時、観客の一人が監督に「映画は社会に影響を与えると思いますか」という主旨の質問をした。監督はキッパリと「それはない」と答えた。想像していた答えと違っていたので、私は少なからず驚いたのだが、同時に厳しい現実を生きる人の答えだと思った。やはり、平和ボケしている日本人にはわからないんだと痛感したのもまた事実。
でも、この作品は監督の願いだとも思うのだ。社会に影響を与えることはできなくても、人々の心に種を蒔くことはできる。この作品はまさしく、そんな映画なのだから。
(東京国際映画祭 シアターコクーン)
監督/エラン・コリリン
出演/サッソン・ガーベイ
ロニ・エルカベッツ
第20回東京国際映画祭グランプリ作品。
各国の映画祭でも各賞を受賞しているが、特にカンヌ国際映画祭のある視点部門の”一目惚れ”賞ってこの作品のために作られたらしい。
エジプトのアレキサンドリア警察音楽隊は、文化交流のためにイスラエルに招かれてやってきた。何故か空港に出迎えはなく、自力で目的地に行こうとしたところ、一文字違いの辺鄙な町にやってきてしまう。そこで食堂の女主人の計らいで地元民の家に泊めてもらうことになる・・・というストーリー。
大きな出来事があるわけでもなく、物語はどこかおかしみを持たせながら淡々と進む。静かな映像はアキ・カウリスマキ監督を彷彿とさせる。
イケメン音楽隊員が、地元の奥手な少年に恋愛の手ほどきをしてやるシーンには爆笑。あのなんともいえない独特のユーモアは好き。
でも何より、この映画のポイントは、ユダヤとアラブという民族の対話だと思う。映画の中で、誰も政治的なことは口にしない。でも、観る側はそれを知っている。そして、映画の中の優しい時間が、現実になることを願ってやまないのだ。
印象的なことがあった。それは、この映画を観終わってからのティーチ・インの時、観客の一人が監督に「映画は社会に影響を与えると思いますか」という主旨の質問をした。監督はキッパリと「それはない」と答えた。想像していた答えと違っていたので、私は少なからず驚いたのだが、同時に厳しい現実を生きる人の答えだと思った。やはり、平和ボケしている日本人にはわからないんだと痛感したのもまた事実。
でも、この作品は監督の願いだとも思うのだ。社会に影響を与えることはできなくても、人々の心に種を蒔くことはできる。この作品はまさしく、そんな映画なのだから。
(東京国際映画祭 シアターコクーン)
by mayumi-68
| 2007-10-25 19:10
| マ行