2007年 04月 15日
「舞踏への招待」 |
1955年/アメリカ
監督/ジーン・ケリー
出演/ジーン・ケリー
イゴール・ユスケヴィッチ
クロード・ベッシー
すっご~く観たかった作品。ヤフオクでレンタル落ちVIDEOをGETしました!(←執念)
ジーン・ケリーが監督・振付・主演した、3つのエピソードで構成されるセリフ一切なし!のダンス映画。興行的には失敗したそうですが(実験作すぎたらしい)、ベルリンでは金熊賞を受賞している作品です。
第1話は「嘆きのピエロ」。ケリー演じるピエロは踊り子に恋をするが、彼女は綱渡りの男と愛し合っている。ピエロはできもしない綱渡りに挑戦し、落下して死ぬ。
このピエロのエピソードが、切なくてたまらない。ケリーは終始、白塗りの顔なのですが、さすがに表情力豊かなだけあり、ピエロの切なさ、哀しさが伝わってくるのです。
あと、ケリーのピエロに対する思い入れは「ザッツ・エンタテインメント PART2」でもちょっと語られていましたが、なるほど、彼の想いが伝わってきますね。ピエロって終始おどけているようだけれど、どこか泣いているようなメイクですよね。それが人間の喜びも悲しみも表現しているようで・・・。ケリーのピエロは見事でした。
第2話は「腕輪のロンド」。1つの腕輪が人から人への渡り、最終的に元の持ち主へと戻るまでのお話が綴られます。ケリーが演じたのは恋人の裏切りを知る海兵隊員。ヤケになって街へ出て、夜の女と踊ります。この女を演じたのがタマラ・トゥマノワという、亡命ロシアダンサー。彼女と踊るケリーがカッコイイです。硬派なイメージですね。
第3話は「船乗りシンバット」。これは日本未公開作ですが、「ザッツ・エンタテインメント PART2」や「ザッツ・ダンシング!」にも出てくるアニメーションとダンスの融合。アニメとの融合は「錨を上げて」のトムとジェリーで有名ですが、これはその延長線上にあるもの。でも、並んで踊るだけではなく、手を取り合い、一緒に踊るので非常に難しかったんだとか。アニメを作る前に実際に人間で撮っておいて、その動きをアニメにしたそうなんだけれど、その元になったのがケリーの良きアシスタントで、「キス・ミー・ケイト」でボブ・フォッシーと共演しているキャロル・ヘイニー。ケリーは「雨に唄えば」のシド・チャリシーとのダンスシーン、本当はキャロル・ヘイニーを起用したかったんだけれど、スタジオに反対され(顔の映りが悪いからって・・・そ、そんな)、渋々変更したんだとか。ヘイニーはがっかりしながらも、シドに優しく丁寧にダンスを教えてくれたんだとか。いい人だ・・・。
このキャロル・ヘイニーという人、いろいろ調べたら結構不幸な人ですね・・・。踊りはすごくうまい人だったのになかなかチャンスに恵まれず、ずっとコーラスなどをやっていたのですが、ケリーから「才能を無駄にするより、振付のアシスタントをしないか」と言われて、彼のアシスタントになったそうです。その後、彼女はケリーに忠誠と敬愛を抱き続けています。ケリーもそんな彼女の頑張りに応えてあげたかったんでしょうね。この第3話で彼女はアニメのモデルの他、シェエラザードとして登場しています。そんなに顔立ち悪いと思えないけどなあ・・・。結構妖艶に踊ってますよ。
彼女はその後、舞台に進出して、トニー賞で最優秀助演女優賞を受賞。その時にはケリーもお祝いに駆けつけたんだとか。(いい話だ・・・)。
でも、彼女は不運で、これからというときに足を痛め、彼女の代役となったシャーリー・マクレーンがスターへの道を掴むのです。そして、ヘイニーは39歳という若さで病死してしまうのです。なんか可哀想な人です・・・。「雨に唄えば」も「巴里のアメリカ人」も、彼女の支えなしには成立しなかった。・・・話は大きく逸れましたが、この第3話、アニメーションに隠れてしまった彼女の踊りを感じることも、一つの見方かな、と・・・。
この「舞踏への招待」、評判のいい作品ではありませんでしたが、私は大好きです。1955年、ケリーが一番いい時の作品だと思うからです。(製作して4年後に公開されてるので、それこそ、「巴里のアメリカ人」や「雨に唄えば」と同時期ぐらいです)
本当にダンスを愛し、芸術に高めようとしていた彼の意欲がひしひしと伝わってきます。今から50年以上も前にこれだけの挑戦をやってのけた。もっともっと評価されるべき作品だと思ってます。
ちなみに、この第2話に出演しているクロード・ベッシーは後にオペラ座バレエ学校の校長先生になった人で、1960年代にジーン・ケリーをオペラ座に呼んでいるそうです。ガーシュウィンを踊る、という企画だったそうですが・・・ケリーも嬉しかったでしょうね。
(VIDEO)
監督/ジーン・ケリー
出演/ジーン・ケリー
イゴール・ユスケヴィッチ
クロード・ベッシー
すっご~く観たかった作品。ヤフオクでレンタル落ちVIDEOをGETしました!(←執念)
ジーン・ケリーが監督・振付・主演した、3つのエピソードで構成されるセリフ一切なし!のダンス映画。興行的には失敗したそうですが(実験作すぎたらしい)、ベルリンでは金熊賞を受賞している作品です。
第1話は「嘆きのピエロ」。ケリー演じるピエロは踊り子に恋をするが、彼女は綱渡りの男と愛し合っている。ピエロはできもしない綱渡りに挑戦し、落下して死ぬ。
このピエロのエピソードが、切なくてたまらない。ケリーは終始、白塗りの顔なのですが、さすがに表情力豊かなだけあり、ピエロの切なさ、哀しさが伝わってくるのです。
あと、ケリーのピエロに対する思い入れは「ザッツ・エンタテインメント PART2」でもちょっと語られていましたが、なるほど、彼の想いが伝わってきますね。ピエロって終始おどけているようだけれど、どこか泣いているようなメイクですよね。それが人間の喜びも悲しみも表現しているようで・・・。ケリーのピエロは見事でした。
第2話は「腕輪のロンド」。1つの腕輪が人から人への渡り、最終的に元の持ち主へと戻るまでのお話が綴られます。ケリーが演じたのは恋人の裏切りを知る海兵隊員。ヤケになって街へ出て、夜の女と踊ります。この女を演じたのがタマラ・トゥマノワという、亡命ロシアダンサー。彼女と踊るケリーがカッコイイです。硬派なイメージですね。
第3話は「船乗りシンバット」。これは日本未公開作ですが、「ザッツ・エンタテインメント PART2」や「ザッツ・ダンシング!」にも出てくるアニメーションとダンスの融合。アニメとの融合は「錨を上げて」のトムとジェリーで有名ですが、これはその延長線上にあるもの。でも、並んで踊るだけではなく、手を取り合い、一緒に踊るので非常に難しかったんだとか。アニメを作る前に実際に人間で撮っておいて、その動きをアニメにしたそうなんだけれど、その元になったのがケリーの良きアシスタントで、「キス・ミー・ケイト」でボブ・フォッシーと共演しているキャロル・ヘイニー。ケリーは「雨に唄えば」のシド・チャリシーとのダンスシーン、本当はキャロル・ヘイニーを起用したかったんだけれど、スタジオに反対され(顔の映りが悪いからって・・・そ、そんな)、渋々変更したんだとか。ヘイニーはがっかりしながらも、シドに優しく丁寧にダンスを教えてくれたんだとか。いい人だ・・・。
このキャロル・ヘイニーという人、いろいろ調べたら結構不幸な人ですね・・・。踊りはすごくうまい人だったのになかなかチャンスに恵まれず、ずっとコーラスなどをやっていたのですが、ケリーから「才能を無駄にするより、振付のアシスタントをしないか」と言われて、彼のアシスタントになったそうです。その後、彼女はケリーに忠誠と敬愛を抱き続けています。ケリーもそんな彼女の頑張りに応えてあげたかったんでしょうね。この第3話で彼女はアニメのモデルの他、シェエラザードとして登場しています。そんなに顔立ち悪いと思えないけどなあ・・・。結構妖艶に踊ってますよ。
彼女はその後、舞台に進出して、トニー賞で最優秀助演女優賞を受賞。その時にはケリーもお祝いに駆けつけたんだとか。(いい話だ・・・)。
でも、彼女は不運で、これからというときに足を痛め、彼女の代役となったシャーリー・マクレーンがスターへの道を掴むのです。そして、ヘイニーは39歳という若さで病死してしまうのです。なんか可哀想な人です・・・。「雨に唄えば」も「巴里のアメリカ人」も、彼女の支えなしには成立しなかった。・・・話は大きく逸れましたが、この第3話、アニメーションに隠れてしまった彼女の踊りを感じることも、一つの見方かな、と・・・。
この「舞踏への招待」、評判のいい作品ではありませんでしたが、私は大好きです。1955年、ケリーが一番いい時の作品だと思うからです。(製作して4年後に公開されてるので、それこそ、「巴里のアメリカ人」や「雨に唄えば」と同時期ぐらいです)
本当にダンスを愛し、芸術に高めようとしていた彼の意欲がひしひしと伝わってきます。今から50年以上も前にこれだけの挑戦をやってのけた。もっともっと評価されるべき作品だと思ってます。
ちなみに、この第2話に出演しているクロード・ベッシーは後にオペラ座バレエ学校の校長先生になった人で、1960年代にジーン・ケリーをオペラ座に呼んでいるそうです。ガーシュウィンを踊る、という企画だったそうですが・・・ケリーも嬉しかったでしょうね。
(VIDEO)
by mayumi-68
| 2007-04-15 17:30
| ハ行